2008年06月17日

[Book]4-2-3-1―サッカーを戦術から理解する

4-2-3-1―サッカーを戦術から理解する(光文社新書、著者:杉山茂樹)

いやあ、面白いです。
サッカーが好きなら必読かと。
スタジアムに行って生観戦をしたくなります。
あと、心の底からプロ・アマ含めたサッカーの指導者全員に読んで欲しい一冊だと思いました。
本書をサッカーファンやサポーターの皆さんが読めば日本のサッカー文化の底上げと醸成が図れるのでは、とも思いました。
同時に日本サッカー協会やマスコミにも失望と怒りが沸いてきたりもしましたが。。

正直、サッカーの戦術、や3-5-2やら4-4-2のフォーメーションなどと聞くと難しく聞こえます。
とっつきづらいとも思います。
この本はそこのところをかなり丁寧にわかりやすく書いています。
・戦術の有効性
・なぜそのような戦術を採用しているのか
・監督の意図
・ピッチ上でのデザインの描き方
などなど。
(といってもやはりとっつきづらかったり難しいところはあります。もう一段入門書としての執筆を著者にはぜひ望みたいところです)

冒頭、著者の一言はなかなか大胆です。

サッカーは監督で決まる。
サッカーの主役は監督だ。

本書のテーマとして「サッカーは戦術でするものではない!」というのがあります。
戦術だけでするものではないと思いますが、戦術があってその上でやるものではないかと思います。

もう1点興味深かったのが、以下のくだり。

決定力不足を前提に物事を考える習慣はいまだ定着していない。
決定力不足を、フォワードの決定力不足や能力不足、人材不足のせいにしている限り、決定力不足は解消されない。
この問題は、フォワードが育まれにくい性質を抱えた日本サッカー界が、永遠に背負っていかなければならない十字架だと割り切らなければ、改善は不可能である。
ゴール前で、決定力のないフォワードに、難易度の低いシュートをいかにしたら決めさせることができるか。
そこに英知を傾ける必要がある。
発想の始点を自軍ゴールではなく、相手ゴールに求め、そこからフィードバックする形でゴール攻略の図案を描く勇気が持てるか。
それに伴うリスクを容認することができるか。
その割り切りが決定力不足解消のカギになる。

もちろんFWの決定力が無くてもいいとか、育成が不要、というのではありません。
しかし、現時点でいないのであれば、それをいかに補うかを最終目的からさかのぼって考えることも必要、という著者の考えは非常に同意できます。
後はリスクを割り切って容認できるか、というのも納得。
強国でさえリスクをとっているのに、世界的に決して強国とは言えない日本などはなおさら頭を使う必要があるのは必然かと。

その他にもFWだけが点を取る仕事を課せられているわけではない、MFの決定力の低さは論ぜられないのか、日本のサイドのクロスの精度の低さには理由がある、といったサッカー的な切り口や、役割と日本語名との関連についても書かれているなど文化論に若干入ったり、キャプテン翼の影響を暗に書かれていたりと読みどころも満載です。

本書を読む前から著者の杉山さんが戦術マニアでかなり偏った考えをしている、といった印象を持っていましたが読後、納得しました。
同時に自分の見方の甘さも痛感しましたが。。
少なくとも戦術をわかっているとサッカーはもっと面白く、深くなることうけあいです。
もちろんこの見方が全てとは思いませんが、こういった知識を持った上で見方を判断するかどうか、というのが重要なのだと思います。
今後のサッカーの見方が変わる一冊ですね。

で、本書はもちろんサッカーの戦術について説いた本です。
ですが、本書には組織論などの観点からビジネスへのヒントも多分に含まれているように感じます。
例えば以下のような。

・自分達がやりたいことがまずあって、その上で実現するために戦術がある
・試合(ビジネス)の流れを読み監督(リーダー)としてどのような戦術変更・選手交代(指示・対処)を取るべきか
・戦術の本場(ビジネスの本場)の流れを的確に掴んでいるか
・戦術(ビジネスとしての戦略)をベースにして、いかに選手(同僚・部下・資源)の持ち味を発揮させるか
・W杯や大きな大会(ビジネスの場)でうまくいかなかった後、次の監督選び(リーダー選定や戦略の変更)を行うのに十分な反省・検証を行っているか
・メディアなどが流す世の中の表面的な声や流れに惑わされていないか、本質的なところを見抜いているか

内容が内容だけに数年すると表面的には古くなる点もあるため、著者の杉山さんには定期的な改版(もしくは類書の出版)と本書のさらなる入門編、上級編もぜひお願いしたいところです。

メインテーマがサッカーなので興味無い人は本書をスルーしそうなのが残念です。
様々な読み方ができるこの本、非常にオススメです!


カンポをめぐる狂想曲(NumberWeb):http://number.goo.ne.jp/soccer/world/campo/

チャンピオンズリーグの真髄(NumberWeb):http://number.goo.ne.jp/soccer/world/column_cl/
番長・杉山茂樹の観戦記:http://news.livedoor.com/article/detail/3686054/

posted by Guinness好き at 19:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Book | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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