2008年11月19日

[Book]プラネット・グーグル

プラネット・グーグル(日本放送出版協会、著者:ランダル・ストロス、翻訳:吉田 晋治)

プラネット・グーグル
ランダル・ストロス
日本放送出版協会
売り上げランキング: 3911
おすすめ度の平均: 4.0
4 NHK出版の本です


以下、目次です(amazonから引用させていただきました)。
目次

はじめに
岐路に立つグーグル/グーグルの広告戦略/グーグルvsマイクロソフト(とヤフー)/世界中の情報を整理する/働きたい会社第一位/HALこそがわれわれの目標だ

第1章 開放と閉鎖 ── グーグルvsフェイスブック
情報へのアクセスをめぐる争い/ビジネス参入のタイミング/開放的なウェブを巡回するスパイダー/AOLからフェイスブックへ/「ソーシャル」の脅威/「フェイスブック問題」/広告モデルとプライバシー/「開放性」のカードを切る/グーグルvs ウィキペディア

第2章 限りない処理能力 ── 不可視の身体
野望をかなえるハードウェア/ビジネスよりも、規模の拡大/十億ページのインデックス/増殖するマシン/だれもいないデータセンター/ブラックボックス

第3章 アルゴリズム ── グーグルの頭脳
頼りはアルゴリズムだけ/ヤフーの失策/七十パーセントを超えるシェア/「MSNは風前の灯だ」/われわれこそがアルゴリズムである/人間の介入/ニュース編集者の勝利/機械翻訳ソフト・コンテストでの成果/データは多ければ多いほど良質/収益は望まない── 今のところは

第4章 月ロケットの打ち上げ ── 世界図書館戦争
世界中の書籍をデジタル化する/先行者たちの失敗/膨大なコストと時間/著作権問題/はじめての訴訟/だれが実現すべきなのか?/未完のプロジェクト

第5章 グーチューブ ── アルゴリズムvs動画
動画検索の黎明期/後れをとったグーグル/ユーチューブ誕生/どん底からの急成長/迷走するグーグル/クリップ文化/ユーチューブ買収/コストのかかる試み

第6章 やっぱり世界は狭い ── ベッドルームから惑星まで
仮想の空中旅行/新興企業キーホール/ドットコムブームの終焉/グーグルによる買収/マッシュアップ/「わざわざ実際に世界を見る必要があるか?」/トップレスで日光浴/デジタル時代の公共スペース/グーグルアースを使うテロリスト/グーグル以外のことなら何でもググれ

第7章 プライベートな問題 ── グーグルvsマイクロソフト
マイクロソフトの牙城を崩す/独自のメールサービス/文脈依存広告/史上最大の悪ふざけ/「だれかが監視しているわけではない」/マイクロソフトを襲った嵐 /個人情報の一元化/グーグルの飽和点/顧客を増やす/犬も食わないドッグフードは作るな/「奴らはメールを読んでいる」

第8章 アルゴリズムよ、人間と対決だ
グーグルの弱点/ユニバーサル検索/アルゴリズムへの挑戦/ソーシャル検索vs人間らしいアルゴリズム/十億ドルの損害補償/八十~九十パーセントの識別精度/三百年

訳者あとがき

◆概要&感想◆
Google社について書かれた本は数多くありますが、これまで読んだことがありませんでした。
(本書内にも出てくる「ザ・サーチ」はかなり気になっていましたが)

そんな中、いつも見ている編集者さんのブログ新しいGoogle本を手掛けられたというエントリを見て、この機会にということで早速読んでみました。
日米同時刊行とのことで内容も最新化されており読み応えがありました。

類書を読んでいないので他の本の温度感がわかりませんが、この本に関してはとにかく「客観的に」書かれているという印象。
Googleを褒めたたえるわけでもなく、批判一辺倒でもない、1歩引いた観点でずっとGoogleという会社をウォッチしてきた著者がそのままのスタンスで書いた本だと感じました。

目次にあるとおり、内容はGoogleのおおもとの「検索」だけでなく、BookSearch、Youtube、Googleマップ&Earth、Googleアップスからストリートビューまで各サービス毎に章が立てられています。
また、Googleのサービスだけではなく、メディアや競合他社等とのやり取りや対応、第8章ではGoogleを追う新興勢力についても書かれており、まさにGoogleを惑星(=プラネット)と見立てて関連する様々な事象、出来事が網羅的に書かれています。

今後のGoogleの新サービス発表や動向を見聞きした際に、どのようにGoogleは考え、決定したのか想像する足がかりにもなりな一冊です。


◆気付き◆
いつも新しいことをしていて、プラスのイメージがあるGoogle。
個人的には、打つ手打つ手が成功しているように思っていましたが、かなりの試行錯誤を繰り返していたことがよくわかりました。
考えてみれば当然なのですが、華やかでスマートなイメージのせいでその部分まで想像が及んでいませんでした。

また、様々な判断が求められる場面で、Googleとしての信念のようなものを貫いてきている、という点が様々な事例を通して伝わってきました。
それが良くも悪くもGoogleをGoogleたらしめているのだとも。

その信念を全社員にしっかりと浸透させた上で、各社員に権限移譲を行うことにより、独自のマネジメント方法が成立しているのだと思います。
(同時にモチベーションマネジメントが図れる点もプラスですね)


◆学び◆
・ブレないことの大切さ。
もし、Googleがこれまでにいくつかの局面で、Googleの信念とは違った判断を下していたら、今のGoogleは無かったでしょう。
方針転換していい所とブレてはいけない所の区別と、その区別に応じた対応が必要ですね。

もっとも、それが正しかったかどうかというのは、もっと後にならないとわからないのだと思いますが。
特にGoogleの場合は、なにせまだ設立10年ですし…

・大局観
短期的な判断も重要ですが、大局的に物事を見ておくことも非常に重要であることを改めて学びました。
本書執筆時点でのGoogleの最終目的「全てを検索可能とする」達成までの必要時間は、あと290時間だとか。
300年(残り290年+これまでの10年)という時間軸でも、物事の判断を考えるというのは、難しいですし忘れがちですが大切なことですね。

最も自分の場合はさすがに300年は無いので、10年とかの単位でしょうか。


◆オススメしたい方◆
Googleという会社について知りたい方にとっては、現時点では最適な候補の一つだと思います。
Googleの良い面も悪い面もひっくるめて客観的にGoogleという会社とその(特に経営陣の)考え方を学びたい方。
Googleを中心とした(米国の)IT業界の流れを把握されたい方。


■関連リンク■
本書紹介ページ(日本放送出版協会HP):http://www.nhk-book.co.jp/shop/main.jsp?trxID=0130&webCode=00813222008
ほぼ日担当編集者は知っている 本書紹介:http://www.1101.com/editor/2008-10-07.html
人生で大切なことは全て撞球場で学んだ。(担当編集者さんのブログ):http://blog.goo.ne.jp/matsushima-m
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