フィンランド豊かさのメソッド (集英社新書 (0453)) (集英社新書)
posted with amazlet at 08.12.05
堀内 都喜子
集英社
売り上げランキング: 1192
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おすすめ度の平均:
3時間? で判るフィンランドフィンランド初心者には、楽しめる内容だった。ただ行きたくなるまでには至らなかった。
商売っ気のない素直なレポート
フィンランド
単純に日本と比較はできないにせよ、考えさせられることの多い本
目次
第1章 不思議でとても豊かな国―失業率二〇パーセントから国際競争力一位へ
(もっとも近いヨーロッパ、隣の隣、日本語と音が似ている、おかしな言葉 ほか)
第2章 学力一位のフィンランド方式―できない子は作らない
(工夫をこらしたクラス編成、制服も校則もなくあまりに自由な中学・高校 ほか)
第3章 税金で支えられた手厚い社会―独立心が旺盛でたくましい女性
(高い税金だが、使途はガラス張りで子どもには国から養育手当が ほか)
第4章 日本と似ている?フィンランド文化―異文化コミュニケーション
(なんとも不思議なフィンランド人、森の豊かさと、体感できる季節の変化 ほか)
(amazonHPから引用させていただきました)
◆概要&感想◆
フィンランドに行ってみたくなりました(単純ですが…)。
読前に知っていたことは、「ムーミン」「ノルディックスキー」「ヤースケライネン(サッカー選手)」「ヤリ・リトマネン(サッカー選手)」「ノキア」「白夜」「学力世界No.1」「かもめ食堂」といったところでした。
断片的でしか描けなかったフィンランドという国の姿が、4つのトピックに関してはハッキリとしてきました。
概ね「うらやましい」印象。
特に政治の世界が、ガラス張りの透明性を誇っており、かつ民意を反映することからくる、決定的な政治家の質の違いには少々ガックリきてしまいます。。
教育制度については「素晴らしい」と単純に思ってしまいます。
日本との違いが鮮明になるとともに、近い将来さらにフィンランドとの差が広がるかと思うと…
教育費の関連は別としても、教育のあり方についてはフィンランドのような形の方が今の日本よりも優れているのではないか、と思います。
よく言われる、日本とは人口や規模が違う、という点ですが、税制などについては理解できるものの、教育制度設計については当てはまらないのではとも思います。
あくまで、「国民(子供)の成長がそのままイコール国力になる、国として教育を支援する」という考えのもと、しっかりと方針を定めて制度設計を行い、運用していく姿勢は素晴らしい限りだと思います。
日本でも、国としてどのような教育を行い、どのような人になってほしいのか、明確にすること。
そのためにできることとできないことを整理し、何をやり、できないことは何故できないのかを明確にするといった検証を改めてする必要があるのでは、と感じました。
英語が重要と何年も前から叫ばれ続け、何年も勉強しているのに身につかないと言われ続けながら、一向に変わる兆しのない教育制度が良い例かと思います。
なぜ身につかないのかの検証も行われていない(ように見えます)ですし、どうすれば良いのかも各論はあっても、全体論としてはまとまらず動いていない気がします。
自覚を持った先生方個々の努力に委ねるのではなく、国としての姿勢も見せるべきではないかと思います。
他国と日本は事情が違う、と切り捨てるのは簡単ですが、なぜ出来ないのか、本当に数字を含めた詳細な検証を行った上でできないとなっているのか、それが日本には欠けているように思います。
納得を得るための努力といいますか…
結局、
・どうすればわかってもらえるか考える
・どうすれば解決できるのか
・どうすれば効率よくできるのか
を考える力がフィンランドは優れているんだろうなぁ、という印象。
そしてその「考える力」をつけるための教育制度を設計し、運用しているのではないか、と。
あと、いつでも誰でもいつからでもやり直せる、というのも大きいですね。
勉強面でも仕事の面でもその仕組みが整っているのは、これからの日本もぜひ見習わなければいけないと思います。
世界学力No.1ということもあって、日本からも多数視察に行かれているようです。
日本は何を大切にするのか、フィンランドのどこは取り入れられて、どこはできないのか、それはどうしてなのか。
単なる視察に留めず見習うべき個所をぜひ日本に持ってきてほしいところです!
と固いことを書いてきましたが、純粋にフィンランドという国とその文化を知るにも良い本だと思います。
いやぁ、国が変われば考え方も生活も変わるんだなぁという。
そのあたりは、やはり読むだけでなく、行って直に見なければ、ですね。
◆気付き◆
・伝わりづらいフィンランドの姿
・キーワードは「考える力」と「効率」
◆学び◆
・フィンランドの良い面、悪い面
・日本が学べる点、検証すべき点
◆オススメしたい方◆
・フィンランドに興味がある方
・高福祉高負担もしくはフィンランド方式学習に興味がある方
・異文化に興味がある方
・北欧のライフスタイルに興味がある方
■関連リンク■
・本書紹介ページ(集英社HP内)
・消費税22%、払う覚悟ありますか?〜『フィンランド 豊かさのメソッド』
堀内都喜子著(評:清野由美)(毎日1冊!日刊新書レビュー NBonline内)