2008年12月20日

[Book]プロ野球2.0

プロ野球2.0 (扶桑社新書 24)(扶桑社、著者:小島 克典)

プロ野球2.0 (扶桑社新書 24) (扶桑社新書 24)
小島 克典
扶桑社
売り上げランキング: 86790
おすすめ度の平均: 5.0
5 なかなか面白い本でした!


目次
目次
序章:「プロ野球2.0」について
第一章:ボストン・レッドソックスCEO・ラリー・ルキーノ氏
「ベースボールの未来」
大胆予想!? 2007年のフクドメ / 松坂獲得はワールド・チャンピオンへの序章だった / ゴールは優勝ではない / 松坂120億円の算出根拠 / ボストンはポスティング・システムの被害者? / 松坂投資からのリターンは4つ / ベースボールの未来は
第二章:スポーツエージェント・団野村氏
「革命から発展へ」
24歳でヤクルトを解雇され、アメリカへ / ブリュワーズのアソシエート・スカウトに / 2年かけてスパーズの100%オーナーに / ペーニャ選手の代理人として奮闘 / プロ野球は、はっきり言って儲かってます / 野茂の代理人で一躍有名に / 日米野球、野茂登板の裏側 / 労使協定があるMLB、ないNPB / 日本のプロスポーツ界が代理人を排除する理由 / 「レボリューションとエボリューション」 / 選手の価値をどう算出するか
第三章:弁護士・水戸重之氏
「スポーツと法務」
"スポーツ弁護士"の第一人者 / 斉藤隆の代理人交渉を請け負う / リーグスポーツはトライアングルのバランスが大事 / リーグ戦、カップ戦のメリットとは / プロ野球はクローズドリーグ / 2つの挑戦を受けたアメリカのリーグスポーツ / 保留制度への挑戦 / ボスマン判決の衝撃 / 球団広告モデルと球団事業モデルの相違点 / 親会社頼みの経営により、多くの問題が / NFLやNBAの「リーグ権利集約モデル」とは? / Jリーグには自浄能力があった / 「bjリーグ宣言」はJBLに対するアンチテーゼ
第四章:日刊スポーツ新聞社・飯島智則氏×ナノ・アソシエーション取締役・小野寺俊明氏「スポーツとメディア」
スポーツ紙は球団の広報活動の場として大きな位置を占めていた / 間違いはアップしたあとに直せばいい / bjリーグの大きなイベントは月曜日に行う / 「それはブログで答えます」 / 第三者が言ったほうが説得力が違う / 「シンアツツヨシさん」と書かれたファンレター / それぞれの媒体の役割とは
第五章:阪神タイガース・畑野幸博氏×福岡ソフトバンクホークスマーケティング・森本譲二氏「ファンマーケティングの醍醐味」
現職スポーツマーケッターが語るファン囲い込みのノウハウ / 球団を支える強固なファンの基盤を作る / 阪神のファンクラブの歴史はまだ4年 / 約8割が継続して会員に / 4億5000万円の現金収入 / 会員の約6割が30〜40代 / 阪神のファンクラブ運営の特徴 / ホークスの会員の約半数が女性 / CRMを積極的に取り組む / エンタメビジネス全般がライバル / ファンと思いは同じ
第六章:北海道日本ハムファイターズ・藤井純一球団社長×横浜ベイスターズ・大堀隆元球団社長
「スポーツと地域の共存」
セ・パの球団経営者による刺激的クロストーク / バイエルン・ミュンヘンでノウハウを学ぶ / パ6球団で新会社を設立 / 球場と球団の関係は大家と店子 / プロ野球の経営は、実はシンプル / 映像をテレビ局が制作するセ、球団が制作するパ / 地域密着とは一体何だ? / 大きな役割を果たしたヒルマン前監督 / 札幌市民が1人1回ずつ来た計算に / メディアとの共存も一つのキーに / 北海道が望むチームスタイルとは
最終章:「プロ野球の未来」
(小飼弾さんのブログ、404 Blog Not Foundから引用させていただきました)

◆概要&感想◆
面白かったです!
本書は「プロ野球2.0」と銘打っていますが、日本のプロ野球をメインの題材にしたスポーツビジネスについての一冊でした。
それは章立を見れば一目瞭然です。

内容は主に著者が立命館大学経営学部で行っているスポーツビジネス講義を編著したもの。
第二章〜第六章までが講義録(対談を行った講義をピックアップされていますが)、第一章と最終章がオリジナル部分です。

本書を読み終えると、日本のプロスポーツをとりまく環境が良くわかります。
良い面も悪い面も。

スポーツエージェント(代理人)、スポーツ弁護士、メディア、マーケティング、球団社長とプロ野球の現場以外の様々な角度の話が展開されています。
この講義は聞いてみたい…
非常に面白そうですね。

読後、まず考えたのは本書に何度も出てくる「リーグスポーツのトライアングル」の重要性。
プロ野球を例にとっても、Jリーグでもそうですが、内輪の論理であったり、自分達の利を優先させる姿勢が何とも。。

フロントを軽んじてもいけませんし、同じように選手も含めた現場もファンもそれは同じ。
トライアングルになっていて、どこかのバランスが崩れてもよくない、というのは正鵠を射ていると思います。

そう思って読んでいると、いかに日本の現場以外が幼稚かがよくわかります。
WBCなどを引き合いに出すまでもなく存在感が薄く、何のためにいるのかわからないコミッショナー。
自球団の利を球界のためと称して、やりたい放題な球団とそのフロント。

いつまでそんな状態が続くのでしょうか。
周囲は変わるべきだと思っていますし、実際に周りから変わってきていることをわかっていないのでしょうか。。

そのあたり、関連リンクにある『視点・論点 「メジャーリーグの魅力」(NHKオンライン解説委員室内)』の話とも通じるものがあると思います。

言うまでもなく日本のプロ野球界は岐路に立っているわけで、その答えの一部分のヒントが本書にはあると思います。

それだけでなく、スポーツビジネスに携わる人の話ということで読んでも面白かったです。
なかなかそういった方々の声は聞けないので。

ハンドボールや日本バスケットリーグなどの実業団リーグ、あれチームにはお金が入っていない、という話は驚きでした…
実業団の運営が難しいのにも納得です。。

そういった意味ではbjリーグの今後の運営などには非常に興味が湧くところ。

対談形式の部分が多いことからも、読みやすく、スポーツビジネスの現場の一端を知ったり、とっかかりとしてもいいと思います。
広い意味では、日本のスポーツの行く末にまで話が及んでいますし。
願わくばこの続編を読みたいところです。
というか、やっぱり講義を聞きたいです。


◆気付き◆
・プロスポーツの現場以外でどれだけの人が、どんな想いで関わっているのか
・プロ野球の現場が持っている危機感
・スポーツビジネスの魅力


◆学び◆
・「海は歩いて渡れない」(最高の明言だと思います!)
・トライアングル(全体像)の重要性


◆オススメしたい方◆
・プロ野球ファンの方
・スポーツビジネスに興味のある方全て
・日本のスポーツ環境の今後に興味がある方


■関連リンク■
本書紹介ページ(扶桑社HP内)
プロ野球2.0編著者(小島克典さんブログ)
(小飼弾さんブログ404 Blog Not Found内)
視点・論点 「メジャーリーグの魅力」(NHKオンライン解説委員室内)
posted by Guinness好き at 13:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Book | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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