すべての経済はバブルに通じる (光文社新書 363) (光文社新書)
posted with amazlet at 09.01.20
小幡績
光文社
売り上げランキング: 545
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おすすめ度の平均:
前半は冗長、後半の相場解説は面白いバブルは不可避
新書であり、世界金融危機について考える入門書としては、非常に読みやすい。
まえがきが面白い
期待はずれ。
目次
まえがき
第1章 証券化の本質
第2章 リスクテイクバブルとは何か
第3章 リスクテイクバブルのメカニズム
第4章 バブルの実態―上海発世界同時株安
第5章 バブル崩壊1―サブプライムショック
第6章 バブル崩壊2―世界同時暴落スパイラル
第7章 バブルの本質
第8章 キャンサーキャピタリズムの発現―二一世紀型バブルの恐怖
(amazonから引用させていただきました)
◆本書から吸収したいポイント◆
・バブル発生と崩壊のメカニズム
◆本書を一言で表すと◆
・「バブル」を丸裸にする一冊
◆概要&感想◆
随所随所で言い切るスタイルが心地よいです。
資本主義はねずみ講だと言い切り、バブルはこんなものだと思われている例をいくつか挙げて、すぐに全て間違いとバッサリと切る。
そこから説明を順序立てて書いていく、という本書のスタイルはわかりやすいと思いました。
文章を書く1つのスタイルとしても参考になりました。
序盤では「証券化の本質」についての説明が繰り返しでてきます。
なので何度も読んでいるうちにふっと理解できるタイミングがやって来ます(笑)
個人的に特によかったのはまえがきと第4章〜第7章。
まえがきは本書の内容全体をギュッと濃縮して書かれており、非常に濃密。
著者の主張がつかみやすく、印象に残りました。
後半の第4章〜第7章のバブルの発生から崩壊の流れを、当時の市場の動きとプレイヤーの心理とを合わせて追った部分は臨場感があります。
何が起きたのか、その時プレイヤーはどう考え、どう行動したのか、などが非常にわかりやすかったです。
このパートだけでもサブプライムバブルの一端がよーくわかるかと。
解決策がかかれているわけではありませんが(当たり前ですが)、今金融の世界で何が起きていて、これからどうなりそうなのか、といったことを把握するのに非常によい一冊でした。
読みながら、マネーは最後はどこへ行くのか、とか投資機会の不足を今後どのような形で補っていくのか、といったことを考えさせられました。
面白かったです。
◆気になったポイント◆
・資本主義はねずみ講(まえがき)
なるほど…と思いましたが、そうなると本書タイトルの通り最後は必ずダメになるわけで…
報われないな、とも思ってしまいました。。
・ムードやその時の雰囲気(悲観的か楽観的か)がバブルの要素の一つ(第6章)
金融工学がこれだけ進んでいると言われていながらも、所詮経済は人の営み。
その時の雰囲気であったり、人々の心理にこれでもか!というくらい依っていることがよくわかりました。
・バブルについての定説は全て間違い
言われてみると至極納得。
プロの運用者も言ってみれば合理的な行動をしたまでで。
当分ついて回るジレンマですね…
◆学び◆
・資本主義はねずみ講
・金融資本の性質
・当分バブルは不可避
・バブルの原因を調べても無意味、実体があってもなくてもバブルは発生する
◆オススメしたい方◆
・バブルについて興味がある方
・サブプライムショックの時、市場参加者はどう考えていたのかに興味がある方
・バブルの生成と崩壊のメカニズムに興味がある方
・今後の資本主義、金融の方向性に興味がある方
・ストーリー性のある経済本が読みたい方(特に第4章〜第7章)
■関連リンク■
・本書紹介ページ(光文社HP内)
・小幡績PhDの行動ファイナンス投資日記(著者公式ブログ)
・小幡績.com(著者公式サイト)
■関連過去エントリ■
・[Book]投資銀行青春白書