今回参加したのは、「DMNセミナー グローバルセンスを刺激する デーヴィッド・マークス
消費・文化トレンド分析2009」というもの。
日米双方の観点を持っている専門家はどのように日本のトレンドを分析するのかに興味を持ち、普段は全くの門外漢ながら参加してみることにしました。
これが思った以上に面白いセミナーでした。
以下、簡単にレポートを。
◆本セミナーに参加するにあたって◆
・マーケッターによるトレンド分析とはどのように考えるのか
・海外の目線から見て日本のトレンドはどのように映るのか
◆本セミナー内容を一言で表す◆
トレンドのキーワードは「不景気」
◆概要&感想◆
トレンド分析やマーケッターの分野というのは全くの門外漢の私。
ですが、わかりやすく、なるほど、とうなずきっぱなしの2時間でした。
講師の方は、デーヴィッド・マークス氏。
日英2カ国語を操り、新進気鋭のマーケティングディレクターの方らしいです。
現在は、MEKAS.というサイトの編集長もされているとのこと。
セミナーの内容は大きく分けて3つ。
1)トレンドの定義
2)トレンドのベースとなる、嗜好群(Taste Cultures)
3)2009年のトレンド分析(Macro Trends for 2009)
最初の「1)トレンドの定義」では、具体的な最近のトレンドの紹介とそのトレンドがどのように発生したのかを説明。
この中では、メディアがトレンド発生に及ぼす流れなどについても説明されていました。
続いて、一口に「トレンド」と言っても3つのカテゴリーに分かれる、というお話。
トレンドのカテゴリーは以下の3つに分かれます。
@生産トレンド
供給側が作り出すトレンド
A生産者、消費者一致トレンド
供給側の意図と需要側のニーズが一致して発生するトレンド
B消費者トレンド
供給側は意図せず、需要側のニーズから発生するトレンド
トレンド分析を行うには、そのトレンドがどのカテゴリーに入るのかを見極めることも大事、とのこと。
ここまでがトレンドの定義でのお話。
続いては、「2)トレンドのベースとなる、嗜好群(Taste Cultures)」について。
ここではまず、欧米と日本の嗜好群の違いの説明からスタート。
欧米の場合は次の3つ。
a)High brow(ハイブロウ)
b)Middle brow(ミドルブロウ)
c)Low brow(ロウブロウ)
日本の場合は次の3つ。
い)Urban Oshare(アーバンオシャレ)
ろ)Mass Culture(マスカルチャー)
は)Yankii Culture(ヤンキーカルチャー)
欧米は、階級社会の名残もあってか、ハイ・ミドル・ロウという区分け。
対して日本の場合は、マスカルチャーが圧倒的に大きくてアーバンオシャレとヤンキーカルチャーがそれぞれマスに影響したり、されたりする関係。
何となくマスで色々と混ざって一つの大きなトレンドを作る、というのはしっくりくる考え。
かなり細かく、時間をかけて説明していた箇所でした。
ここまでが嗜好群のお話。
そして、最後の「3)2009年のトレンド分析」。
まずは現在のトレンドの鉄則として、「消費者にわからないものを出してはいけない」「共感できて、わかりやすいもの」などを挙げていらっしゃいました。
その上で2009年のトレンド予測を発表。
α)不況での本音
β)ヤンキーカルチャー優勢
γ)嗜好の標準化
特に共感できたのが「α)不況での本音」。
不況下で、これまでは「よし」とされてきているものも、結局それはラグジュアリーなものであり、それに気づいてそぎ落とされるのでは、ということ。
消費として抑制されそうものとして挙げられていたのが、エコ(eco)、高級ブランド(Luxury)、健康(Health)など。
特にエコは、真価が問われるのでは、とのこと。
不況下なので伸びそうのはやはり、マックや吉野家、高級バッグではなくお手頃(30,000円以下?)のバッグ、など。
もう一つ、なるほどと思ったのが、「γ)嗜好の標準化」。
日本人の嗜好が、世界の標準的な嗜好に近づくのでは、ということだったのですが、そもそも何故日本人の嗜好は世界の標準的な嗜好と異なる道を歩んだのか。
それはバブル時代に形成された消費者標準が、そのまま失われた10年などの時代でも残ったのではないか、ということ。
今回の不景気で、この消費者基準が遂に消え、世界の標準的な嗜好に近づくという予測でした。
確かにこれまでの日本の消費者基準は、国民皆が中流という環境で、世界標準以上のお金を大多数の人が使えた環境にあったのだと思います。
ただ、良くも悪くも格差社会到来と叫ばれ、使えるお金にも限りが出てきている昨今、例えばムリをしてブランドもののバッグを購入しなくてもかわいいエコバッグやノンブランドのバッグで十分、という意識が浸透してきているのは確かに感じるところ。
それは、かつては周囲の人と同じモノを持たなければ!という感覚だったのが、自分は自分、自分が良いと思うものを持ちたい、という多様性の感覚になってきたのかな、とも感じます。
個人的にはそれでいいと思うので、よい流れなのかな、と。
と、ここまででセミナーは終了。
普段あまり馴染みの無いテーマだったせいか、あっという間の2時間でした。
その後の質問コーナーで感じた点が、デーヴィッド・マークス氏が質問に対して、ただ答えるのではなく、別の視点からの考えも交えつつ応答されていました。(私はそう感じました)
単に質問に対する答えだけでなく、質問者に新たな気づきも提供できる、というのはぜひ見習いたいポイントです。
なかなか普段縁遠い分野のセミナーだったせいで、参加前は多少気遅れしたところもありましたが、トレンドの考え方や、日本と欧米の差異など得るものが多いセミナーでした。
尻ごみせずに、こういった経験も必要だな、と痛感した場でもありました。
今後も積極的な参加をこころがけたいと思います。
◆学び◆
・日本のトレンドはメディアが主導するケースが多い
・トレンドがどのカテゴリーに入るか見極めることが重要
・日本では消費者トレンドのケースは非常に少ない
・日本のメディアが発するメッセージは、欧米と比べて強く伝わりやすい
・消費者分析を行う際、最先端の人を対象にしてもマスのニーズにはハマらない
・消費者にわからないものを出してはいけない
・売れているものはわかりやすく、共感できるもの
・不況によって消費者の本音が表に出てくる
◆宣言◆
・トレンド、と聞いた時に、カテゴリーとその発生について意識してみる
・門外漢の分野のセミナーにも尻ごみせず参加してみる
・質問に対しては、答え+別の視点からの新たな気づきを提供
■関連リンク■
・セミナー紹介ページ(DMN ONLINE.NET内)
・DMN ONLINE.NET
・MEKAS.(英語、講師
デーヴィッド・マークス氏編集長サイト)
・MEKAS.BLOG(英語&日本語、講師
デーヴィッド・マークス氏編集長ブログ)
■関連過去エントリ■
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