ブログ論壇の誕生 (文春新書)
posted with amazlet at 09.02.13
佐々木 俊尚
文藝春秋
売り上げランキング: 167537
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おすすめ度の平均:
立ち読みして面白そうだったので買って読んだが、期待はずれだった。古すぎる!
ネットとメディアの事件史
私の知らないネットの今を教えてくれる
特ダネ期待しちゃいました…
目次
1 ブログ論壇はマスコミを揺さぶる(毎日新聞低俗記事事件、あらたにす ほか)
2 ブログ論壇は政治を動かす(チベット問題で激突するウヨとサヨ、「小沢の走狗」となったニコニコ動画 ほか)
3 ブログ論壇は格差社会に苦悩する(辛抱を説く団塊への猛反発、トリアージ ほか)
4 ブログ論壇はどこへ向かうのか(『JJ』モデルブログ、光市「1・5人」発言―ブログの言論責任は誰にあるのか ほか)
(amazonから引用させていただきました)
◆本書を読む視点◆
・ブログ論壇はどの方向に進むのか
◆本書を一言で表すと◆
・時事問題における様々な対立の背景にあるブログ論壇の動きの解説
◆概要&感想◆
ネットに関して様々な著書を書き、現在ネットに関するジャーナリストとして名を馳せている佐々木氏によるウェブメディア論。
著者の公式サイト上では以下のように本書が紹介されています。
文藝春秋の月刊誌「諸君!」の連載をまとめた書籍です。インターネット上で語られているさまざまな議論について、ロスジェネ世代と団塊世代の対立を軸にしてまとめています。
(「佐々木俊尚 ジャーナリストの視点」から引用させていただきました)
記載されている通り、本書のテーマの一つは「対立」。
ネットという世界が生まれたことにより、マスメディアとネットの対立、ネットとリアルの対立、世代間対立が生じ、それらがうねりとなって様々なところに顔を出しているとしています。
元々これらの対立はあったのでしょうが(ネットは無くてもマスメディアに対するもの、リアルに対するものという意味で)、ネットという場を得たことで人の目に触れることができるようになったということだと思います。
(ロスジェネ世代と団塊の世代とに分けることが適切かどうかもありますが…)
本書紹介にもあるとおりこれらはかなりの部分をロスジェネ世代と団塊の世代の対立に起因するもの。
本来はこの世代間対立の議論の場として、ネットという場があるのが良いのだと思います。
ただ、本書内にもありますが日本という国ではそういった議論を戦わせるという文化がそもそもありません。
(かくいう私も決して得意ではないです…)
議論を戦わせることで見えてくるものがあるはずなのですが(もちろんどちらが正しいといったようなものではありませんが)、まだそこに至る道は無いというのが現状。
両世代ともに、どのようにすれば(感情的ではなく、一方的に断じるのでもない)議論を戦わせることができるのかを探っていくのが、これからの日本に必要なことなのだと思います。
本書の内容ですが、それぞれネットの世界で話題になって時事的な話について、佐々木氏がその背景を解説する、という体裁を取っています。
ブログ論壇自体についての佐々木氏の所見であったり、考察を求めると少々イメージが違うかもしれません。
時事的な話について、ブログを始めとするネットがどのように考え、どのように反応したのかを知り、そこから今後どのようにネットと付き合っていくのかを考えるのに良い一冊です。
◆気になったポイント◆
ネットの言語空間で最も重要視されるのは、可視性と論理性である。
つまりものごとのプロセスをきちんと開示すること、そしてその上できちんと無理なくロジックを積み上げていくような議論が求められている。
至極真っ当な求められ方だと思います。
ただ、これまでの日本では比較的苦手とされてきた考え方であり、対応だと思います。
そしてこれから確実に必要となってくる考え方でもあると思います。
きちんと議論をオープンにし、すべてを可視化させ、真摯に対応していくしかないのだ。
これも上と同じで、これまでの日本では見られず、これから当たり前になる考え方かと。
問題についてつねに討議し、解決策を考えていくという討議(ディベート)文化が日本には欠落していること。
国会から小学校のクラスまで少しずつで良いのでこの文化の醸成が必要になってくるのではないでしょうか。
◆学び◆
・マスメディアとインターネットの非対称戦争
・ネットの言語空間で最も重要視されるのは、可視性と論理性
・インターネットの世界を貫く原理原則はただひとつ、「エンド・トゥー・エンド」
・理念としての「社会」と、リアルな「世間」の乖離。
◆オススメしたい方◆
・リアルの世界に対してネットの世界がどのように見ているのか知りたい方
・ネットの世界で何が起きているのか知りたい方
・佐々木俊尚氏に興味がある方
・日本における「議論」のあり方について興味がある方
■関連リンク■
・本書紹介ページ(文藝春秋社HP内)
・佐々木俊尚 ジャーナリストの視点(著者佐々木 俊尚氏ブログ CNET Japan内)
・佐々木俊尚氏 公式サイト(著者 佐々木 俊尚氏公式サイト)
■関連過去エントリ■
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