アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)
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町山 智浩
文藝春秋
売り上げランキング: 1631
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おすすめ度の平均:
通常、日本人が知りえない、多くのアメリカ人やアメリカ社会の現実を教えてくれる素晴らしい本です。 おもしろい!でも著者というより訳者。
面白いけれど。
町山氏が愛してやまないアメリカを上手に描写している
日本人よ、もっとしっかりしよう!
目次
●暴走する宗教
ブッシュが推進する絶対禁欲性教育のムチャクチャな正体
子どもにブッシュを拝ませる福音派洗脳キャンプ
キリスト教ディズニーランドの廃墟で泣く史上最大の宗教サギ師の息子
ドライブスルー教会にプロレス伝道師
大統領を決める男はテレタビーズが大嫌い
神様、兵隊さんを殺してくれてありがとう!
クリスマスを異教徒から守れ! 宗教右派が仕掛けたクリスマス文化戦争
ほか
●デタラメな戦争
「エラの谷」戦場の狂気がアメリカに帰還する
アメリカは拷問まで海外にアウトソーシング
ランボーの戦いは全部スカだった
政府がコントロールできない戦争株式会社
ソ連を倒してタリバンを育てた男
ほか
●バブル経済と格差社会
アメリカを食いつぶすウォルマート
ポラロイド倒産で社員が得たものは?
マリファナの売人はセレブな未亡人
年収360万円の若造に2億円の住宅ローン
メイド・イン・チャイナの星条旗を禁止せよ
アメリカのトウモロコシ畑は日本より広い
ミッキー・マウスを十字架にかける牧師
ほか
●腐った政治
ブッシュとブッシュマンをつなぐ男
実用化された電気自動車はなぜ消えた?
全米の歴史学者がブッシュを史上最低の大統領に認定
『ブッシュ暗殺』は「奴ら」の思うツボ
イラク空爆の導師も高級デートクラブの顧客
隠れゲイの反ゲイ政治家とヤったゲイ募集!
選挙に勝つなら何でもする「ブッシュの頭脳」
ブッシュの伝記映画の重大な事実誤認とは?
ほか
●ウソだらけのメディア
イラク戦争を操ったメディアの帝王ルパート・マードック
ブッシュと記者団に恥をかかせた勇気あるコメディアン
魔女狩り軍団と戦った三人の歌姫ディクシー・チックス
「オバマ候補はイスラムのスパイだ!」
「ザ・シンプソンズ」が親方FOXに反乱
老舗のお笑い番組がヒラリーを救った
ほか
●アメリカを救うのは誰か
「奴隷制度の賠償してくれる人に投票するよ」
「黒人が大統領候補になれるのは50年先だ!」
不死鳥マケインは拷問より親父が怖い
はぐれ牛マケイン、右も左も蹴っ飛ばせ
アメリカの時代は終わるのか
ほか
●終章 アメリカの時代は終わるのか
(ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記から引用させていただきました)
◆本書を読む視点◆
・日本にいると見えづらい、中から見たアメリカはどんな感じ?
◆本書を一言で表すと◆
・驚愕のアメリカの現実(の一面)とその未来がよくわかる一冊
◆概要&感想◆
「本書に書かれていることは全てフィクションです」
そんな一文を探したくなるくらい、衝撃的な内容。
読後、色々な思いが押し寄せます。
ざっと挙げてみても
・単純にエッセイとして面白かった
・というかこれって本当?
・本当ならものすごく怖い…
・アメリカの将来、大丈夫なんだろうか
・これまではアメリカの陰陽の陽の部分しか表に出てきていなかった?
・これだけのこと書いて著者の町山さんは大丈夫?
・日本っていい国なんだなぁー
・もしかして普段日本がイマイチと思ったりするのは、ひたすらアラさがししているからなのか?
→ マスコミに扇動されている??
・問題が無い国なんて無いんだろうなぁ
などなど。。
そもそもは週刊文春の連載エッセイとのこと。
普通に読むと映画ネタを多く含むコラムなのですが、冒頭の入りが映画ネタというだけで、そこからは様々な面からアメリカという国を生々しく切り取っています。
本書のテーマは2つあるかと。
一つは、とかくステレオタイプで伝われがちなアメリカという国の実態。
もう一つは、アメリカという国の実態を踏まえた、アメリカという国の行く末。
単純に字面を読むと、アメリカという国の抱える不安要素が多々描かれており、現実であればとてもアメリカという国は持たないと思ってしまいます。
目次にもありますが、信じられないような話のオンパレードなので。。
ただ、本書のメインはアメリカという国を面白おかしく紹介することではなく、実態を踏まえた上でアメリカという国の可能性について考えてみる、ということかと感じました。
そういう意味で「終章 アメリカの時代は終わるのか」が非常に効いてくるかと。
著者は現在もアメリカに住んでいます。
アメリカちへの愛着をもちろん感じますが、それだけでなく、これだけの現実を知りつつ、それでもアメリカに住むだけの理由がある。
そこにアメリカという国の将来のポイントがあるのだと思います。
著者も本書内で以下のように書いています。
それでもアメリカに希望がないわけじゃない。
どこの国よりも激しく、その血を入れ替え続けているからだ。
一元的なアメリカを守りたい人々には嫌だろうが、アメリカは世界と血管をつなげて新しい血を取り入れている。
それがアメリカを再生させるかもしれない。
進化論を教えない面があるかと思えば、今後何十年もないと思われていた黒人大統領を選出させる面もあるアメリカ。
懐が深いというか、何というか。
日本に普通にいる分にはある一面しか見えてこないのだと改めて感じさせられた一冊。
非常に面白かったです。
◆気になったポイント◆
アメリカの大学で博士号を取得する者の4割が海外出身者で、2010年にはなんと7割を超える!
以外でした。同様に2040年頃までには白人がマイノリティになるという話も。
会社の同僚のホーム・パーティに行けば、韓国、インド、ロシア、フィリピン、ドイツ、ブラジル…。
世界じゅうの家庭料理が持ち寄られ、いろんな訛りの英語が飛び交う。
マルチ・ナショナルで、マルチ・エスニックだ。
一生に一度も外国に行かず、外国について何も知らず、聖書以外の価値を否定する「ブッシュ的な」アメリカ人たちのいっぽうで、こんな虹色のアメリカもある。
多様な面を見せるアメリカが見てとれました。
将来世界の至るところでこうした光景が見られるようになる気もします。
問題はそれが日本でもそうなるのかどうか、ということかと。
母国同士が対立していても、ここではみんな隣人で、結婚したりもする。世界各国の事情は遠い外国のことではなく、常にご近所の問題として感じられる。ここに住むことは「世界」に住むことだ。
世界の縮図としてのアメリカ。
そんな場にいるのであれば、確かに動く必要はないですね。。
◆オススメしたい方◆
・アメリカの真の姿を知りたい方
・面白いエッセイ集を読みたい方
・アメリカの大統領選、メディアなどに興味がある方
■関連リンク■
・本書紹介ページ(文藝春秋社HP内)
・ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記(著者 町山智浩氏ブログ)
■関連過去エントリ■
・[Book]ラーメン屋vs.マクドナルド―エコノミストが読み解く日米の深層 (新潮新書)
・[Book]ルポ 貧困大国アメリカ