2009年03月22日

[Book]情報革命バブルの崩壊

情報革命バブルの崩壊 (文春新書)(文藝春秋社、著者:山本 一郎)
情報革命バブルの崩壊 (文春新書)
山本 一郎
文藝春秋
売り上げランキング: 45655
おすすめ度の平均: 4.0
2 タイトルと内容がかけ離れているイメージをもった。読まなくても良かったかも。
2 話題豊富だが,ただ書き散らしているという印象
3 「新聞のあり方」が漠然としていて・・・
5 財務的視点の記述のところが面白い
3 いまさら、インフラ企業や新聞社を儲けさせろと言われても、時代錯誤もいいとこ♪

目次
まえがき 「無料文化」を支える過剰期待というバブル
第1章 本当に、新聞はネットに読者を奪われたのか?―ネット広告の媒体価値の実像が見えてきた
第2章 ネット空間はいつから貧民の楽園に成り下がってしまったのか?―「理想郷」ネット社会の荒れ放題
第3章 情報革命バブルとマネーゲームの甘い関係―一罰百戒の「一罰」はなぜ堀江氏だったのか
第4章 ソフトバンクモバイル(SBM)で考える時価総額経営の終焉―崖っぷちの天才・孫正義氏による「価格破壊」
第5章 「ネットの中位性」とネット「無料文化」の見直し―ネット界隈が一般社会の秩序の枠組みに取戻される時
あとがき リーマン破錠、そして宴は終わる
amazonから引用させていただきました)

◆本書を読む視点◆
・昨今のネット時代に対してどのように警鐘を鳴らしているのか?

◆本書を一言で表すと◆
・情報革命から一歩引いて見ている本

◆概要&感想◆
新鮮な一冊でした。
そしてうまく考えがまとまらない一冊でもありました。

自分も情報革命は続くものだと思ってた一人でしたが…

世の中ネットの時代が到来し、便利になり、この素晴らしさは当面の間続くという風潮が自然になりつつある昨今。
そんな風潮に対して、全く逆の視点から書かれている本書。
納得できる点も多々ありました。

個人的に面白かったのは、第1章、第2章、第5章。
特に、「ネットの中立性」「ネットの無料文化」のあたり。
無料文化というネットにカネを払わないユーザー優先の世界ができたはいいがそれを支えていたのは世界の金余りであって、ユーザーの誰もがお金を払わず、ただ安いインフラ代金程度で未来永劫ネットが成長していくわけがない。

この一文に非常に多くのことが集約されているかと。
情報に関わる事業者、そしてユーザーがいつかぶち当たるであろう大きな壁があることに気がつかされました。
ネット界隈が一般社会の価値観や秩序の枠組みに取り戻され、普通の社会の延長線上にネットがあるのであって、ネットが必ずしも「あちら側」の踏み進むべきフロンティアとは限らない、ということを、よく理解するべきだと考えるのである。

さらに、本書のキモはここかと。
ネットが登場し、普及することで、広く世の中に行きわたりましたが、それは新しい社会ができたことを意味するわけではない、と。

最終的にはこれまでの「普通の社会」にネットが組み込まれていくのであって、現在の状況はまさに「バブル」ということ。

バブルということであれば、いつかは弾けるのが道理。
日本が過去、経済では何度となく経験しているバブルですが、産業界におけるバブルとなると…
まして経済のバブル後の処理も心もとないなか、いかにバブルの処理を行うかが大事になってくると思います。

その情報革命バブルの処理 = ネットを普通の社会に組み込む、ということなのかな、と。
そうなってくると重要なのはネットを普通の社会に組み込む際のルール作り。
このルールをいかに作るか、そして世界の中で日本がいかにそのルール作りに関わるか。

日本はこのルール作りが上手ではない印象があります。
特に世界という舞台ではなおさら。

どうすればうまくソフトランディングできるのか…
ルールを作れるのか…
いろいろと考えてみたいポイントです。

◆気になったポイント◆
今回は個人的な備忘録的な意味も含めて挙げています。
情報など、元から大量にあるのだ。目を通しきれないほどに。情報革命の本質とは、情報そのものが増えたわけではない。情報へアクセスする方法の効率が良くなっただけである。

納得です。増加はしているでしょうが、元から全てを把握するのは土台不可能だったことも事実ですね。
情報化社会は国民の総専門家を促すものであり、一人の人間が持つ情報量に限りがある以上、社会にいる人間同士が価値観や考え方を共有したり相互理解することの妨げになりかねない。

アクセス効率がよくなったために、とび抜けるにはこれまで以上の情報が必要となり、結果専門的にならざるを得ないというロジックは面白かったです。
それが引いては、人と人とのあり方にまで影響を与えているという…
不当な利益を上げる刹那的な事業者に対して、インフラ事業はその公共性、公益性から考えてネットの普及に重点を置く意味で適正な利益を得ることができなかった。

覚えておきたい考え。
モデム時代を考えると、確かに4,000、5,000円であのスピードで使い放題って恐るべきコストパフォーマンスだと思っていましたが…
現在ではついにアメリカでネットの定額制を見直す動きまで出ている。

知りませんでした。
明確なのは、ネットは動画などの大容量通信をすべての利用者が同時に行うようなメディアに向いていないし、これを解決する方策自体が技術的に見当たらないということだ。

利用率を考えてみるとやっぱり80:20の法則あたりに落ち着くことになるんでしょうか…
それならいいのでしょうが。
無料文化とネットに対する設備投資の見返りが乏しいという現実の問題は、これからもっと先鋭化していくだろう。

見返りが乏しい分野をいつまでも支える慈善的な事業者がいるかというと…
そうなると自ずと進むべき道は限られますね、確かに。
特定の高収益なネットサービスをその創業から成長期において大いに拡大しながらも、その参入障壁の低さゆえに他者との決定的な差別化を図ることがついにできず、規模や機能の拡大のために市場からの調達に常に依存しなければならないことにある。

儲かる仕組みの陳腐化のスピードが速すぎて、そこで得た資金をより実業に近い事業の買収に充当して、規模の拡大を狙わなければ生き残ることができないのだ。

ネット時代の功罪の一つですね。
そう考えると必然の流れのような気もしてきます。

◆オススメしたい方◆
・情報革命の恩恵を一身に受けている方
・情報革命ってバブルなの?という方
・今のネットの状況はずっと続くと思う方
・情報の未来について考えてみたい方

■関連リンク■
・本書紹介ページ(文藝春秋社HP内)
・切込隊長BLOG(ブログ) Lead‐off man's Blo(著者 山本 一郎氏ブログ)

■関連過去エントリ■
・[Book]すべての経済はバブルに通じる
・[Book]ジャーナリズム崩壊
・[Book]次世代マーケティングプラットフォーム





posted by Guinness好き at 19:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Book | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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