大前 研一
講談社
売り上げランキング: 6814
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安価で視点・フレームをインストール!次世代の経済大国ロシアの驚くべき可能性が今ここに明かされる
ロシア、経済危機になっちゃいましたけど・・・。
ロシアにビジネスチャンスがあるとは思いましたが・・・
とても参考になりました。
目次
激変する世界の潮流
第1部 変貌するロシア(プーチンの奇跡、拡大する市場)
第2部 ロシアン・ビジネス・チャンス(愛される日本、出遅れる日本、二一世紀のIT大国・ロシア)
第3部 世界の潮流とロシア(内政・外交の光と影、ロシアとEU)
日ロ関係の未来図
(amazonから引用させていただきました)
◆本書を読む視点◆
・あらためてロシアを知る
◆本書を一言で表すと◆
・見えづらいロシアの実情とこれからを描く
◆概要&感想◆
大前氏がロシアについて、実情とご自身の考えを記した本書。
大前氏は以前にも「チャイナ・インパクト」や「東欧チャンス」といった、新しいエリアの本を書かれています。
都度ご自身で見て、世界の中でその対象がどのような位置づけにあり、これからどのようになっていくのかを先物買いのように書かれていて、その感覚はすごいなぁ、と毎回感じます。
今回の対象はロシア。
本書が書かれたのは2008年の春〜夏ごろだと思いますので、そのころからすると経済危機や原油価格の下落の影響もあってだいぶ勢いは衰えていますが、本書の内容はまだまだ有効だと思います。
・短期的なスパンではなく、長期的なスパンで物事を見る
・局所的に見るのではなく、広い視点で物事を見る
・一般に言われていることは事実なのか、正しいのか
といった観点はさすがです。
本書内で、大前氏は日本人のロシアに対する偏った見方について何度も言及されています。
第二次世界大戦や北方領土問題やメディアが報じるプーチンという指導者に対する見方を変えることが、引いてはロシアとの関係、あり方についてこれまでとは違った角度で考えることができるのではないか、繰り返し書かれています。
国同士ですし、様々な利害関係が絡むのは当然と言えば当然です。
日本の場合は、とかく感情論が優先され(メディアが煽っているのも一因だと思いますが)、理(利)の部分は後回しにされがちな傾向がある気がします。
全てに理(利)を優先させる必要もないとは思いますが、そろそろ折り合いをうまくつけることを学んでもいいのではないか、と読後思いました。
少なくとも現状を冷静に見て、知っておく必要はあるのではないか、と思います。
とはいえ感情のコントロールは難しいですし、まして他の人の心が絡むとなれば一層のことですが…
「冷静に見る目」を養う意味でも本書はオススメです。
個人的にはロシアについて非常に勉強になりました。
2000年の2月に一度モスクワ&サンクトペテルブルグに行ったことがあります。
当時はミレニアム直後で丁度ロシアが復興しつつある時。
モスクワだと有名なグム百貨店きらびやかさと、地下鉄の深さと豪華さ、宿泊したイズマイロヴォホテルの大きさ、そしてホテル近くのマーケットの素朴な感じが印象に残っています。
あ、シェレメーチエヴォ国際空港の異常な暗さも印象に残っています。
どうもあの暗さは未だに変わっていないようですが。。
本書を読んで、もう一度ロシアに行って、どのように印象が変わったのか見てみたくなりました。
◆気になったポイント◆
ロシア進出の十大心得
1.ロシア人と共に、ロシアのために働く
2.ロシアのルールを尊重しつつも、自分の流儀を忘れない
3.政府な各種行政機関との関係構築、人脈作りに励む
4.核心に対しては断固たる態度で、枝葉末節には柔軟に対応する
5.窮地に活路を見いだす術を学べ
6.腐敗は生活の一部。うまく対処する術を身につけよ
7.権威主義ではなく、本物のリーダーシップを発揮すべき
8.権限移譲は難しいが重要。それゆえ段階的に実施すべし
9.海外企業の個性が強調されたワンカンパニーを確立すべし
10.早期警戒管理態勢を敷く
(インシアード大学スタニスラフ・シェクシューニア教授による提言)
6番あたりは対応に困るところですが…
大前氏も書かれていますが、国際的なビジネスを行うにあたって特別なことではありませんが、7番目などはロシア独特の気風を表しているようで興味深いです。
冷戦の遺産
良くも悪くも、どれだけその影響が大きかったのかよくわかりました。
ロシアの資源は「国土」「資源」「人材」
切り口が明確でわかりやすいです。
優秀な科学技術者
問題解決のためのアプローチの方法ひとつとっても、欧米人や日本人とはまるで違います。
ロシアならではの「人材」の特徴。
所変われば人が変わり、考え方も変わります。
ダイバーシティが求められる一因だと思います。
ロシアは二十一世紀のIT大国となり得る人材の質と量を秘めている。そして日本を含めて海外企業が進出や地元企業との連携を図るときには、これらの旧ソ連圏も含めて視野に入れるべきである。
それぞれの国同士の関係も含め、それらの国の歴史等も考慮して様々な可能性を考える必要があるということだと思います。
◆オススメしたい方◆
・ロシア(旧ソ連圏)に興味がある方
・大前研一氏に興味がある方
・国際感覚を身につけたい方
■関連リンク■
・本書紹介ページ(講談社HP内)
・大前研一「ニュースの視点」Blog
・大前・アンド・アソシエーツ グループ
■関連過去エントリ■
・[Book]サラリーマン「再起動」マニュアル