COVER STORY
日本人の「旅」大解明
鉄道、旅館・温泉 名物に格安ツアー
図解
P.46 図解1 | 旅行の風景が大きく変わっている
P.48 図解2 | 3000人アンケート 日本人のリアルな旅
P.50 8割は旅行好き。今の若者の旅のカタチ
P.52 PARTI【業界編】 そのココロは「旅離れ」に非ず!
P.52 JRと地元がタッグ組む、全国から新潟に客を呼べ
P.58 全国各地でブームの兆し、「観光列車」は春爛漫♪
P.62 広がるネット旅行サービス、クチコミ情報がカギに
P.64 じゃらん新人営業マン イマイチ?旅館テコ入れ繁盛記
P.66 イベントを盛り上げろ! 集客のカギは知恵と熱意
P.68 大放談会 旅行業界で働く人々のホンネ
P.70 現地ルポ 韓 国│円高で日本人殺到、買い物の次は「医療観光」
P.72 現地ルポ 沖 縄│次なる観光の目玉「リゾートエンディング」
P.74 現地ルポ 北海道│唯一好調を持続する十勝、スイーツ王国を売り込め
P.78 PART II【地方編】 自ら変わらなきゃ客は来ない
P.78 「1泊2食」はもう古い、高級旅館も“禁じ手”に挑戦
P.83 温泉旅館「再生」で急成長、新興3大グループの素顔と戦略
P.88 兵庫・浜坂 女将さんたちも猛勉強、「カニソムリエ」が大活躍
P.90 和歌山・白浜 客を旅館に閉じ込めない、町が丸ごと観光地
P.92 衰退の危機から復活、観光名所を作り出せ
大分・豊後高田/千葉・佐原/兵庫・豊岡/奈良・吉野/山梨・甲府/神奈川・川崎
P.97 知る人ぞ知る「仙仁温泉 岩の湯」、
「唯一無二」と呼ばれる理由
P.99 INTERVIEW│金井辰巳 /「仙仁温泉 岩の湯」主人
(東洋経済新報社HPから引用させていただきました)
◆本書を読む視点◆
・日本人の旅の現状はいかに?
◆本書を一言で表すと◆
・「旅」に関わる方々は今、何を考えているのか
◆概要&感想◆
見出しで『日本人の「旅」大解明』とあれば読まないわけにはいきません。
読んでみると日本国内の「旅」がメインテーマだったので若干イメージとは違っていましたが、面白い特集でした。
一番興味があったのは最初のパートにある「日本人の旅行への意識は今どうなっているのか」という点と「旅行"代理店"離れ」について。
昨今、「若者の旅行離れ」が至るところで指摘されて話題となっています。
実際、数字を見てみると確かに旅行者の絶対数という意味では減っているのは間違いないようです。
ですが、前々から思っていましたが「少子化」「大学全入時代」と言われるように若者の絶対数自体も減っているはずです。
そしてそもそも「若者」という言葉の定義自体非常に曖昧でもあると思います。
ものによって「若者」が20代までなのか、もっと上なのか、などなど様々なのでは、とも思います。
そのあたりは、本書内でも触れられていて、言葉の踊らされるのではなく、しっかりと何が起きているのかに注目すべき、とのこと。
さて、今回特に気になったのは、HISの方が仰っていた以下のこと。
うちの顧客にとって「どこに行くのか」はさほど重要ではない。最も関心を引くのは、「何をするのか」という内容だ
場所ではなく、そこで何ができるのか、ということですね。
よく旅行離れの原因はネットだ、と言われますが目に見えるかどうか、ということであればGoogleマップやストリートビューもあるこのご時世。
昔のように「行くこと」がではなく、「すること」が目的となる人が増えるのもわかります。
(とはいえ、私自信は「行かなければわからないこと」があると思っているので、「行くこと」も大切だと思っていますが)
そこで旅行会社としては様々な工夫をこらした企画を立てることになりますが、その考え方がまた驚きました。
「日曜日に行くなら映画か旅行か」という視点で企画を考えなければ勝てない
私が旅行というと長い旅行をイメージしているせいもあると思いますが、ここまで来ているとは…
本特集内にも日帰りバス旅行が人気、など確かに考えてみれば映画と競合しますよね。。
よく競合は同じ業界内にあるのではなく、別の業界にあると言います。
(フェラーリの競合相手は、ポルシェなどではなく、クルーザーであったりといった富裕層の余暇に関わる相手)
このあたりは先日読んだ、「ブランディング22の法則」にも通じますね。
そんな旅行代理店ですが、取り巻く環境は厳しく…
旅行離れではなく、旅行"代理店"離れ、といえるかもしれない。
旅行代理店のメリットは以下の
@旅行(日程や現地での行動、移動手段の確保等)について考える手間を省く(アウトソースする)
A旅行に関する情報を一元的に収集できる
B旅行についての安心、保障を得る
Cケースによっては安価
かくいう私自身旅行代理店はほとんど使いません。
その理由を考えてみると…
@については、そもそもパック旅行を使わないのが一番の理由だと思います。
自分で旅行について考え、計画を立てるのが何よりも好きなので、その部分を旅行代理店に任せてしまうのは余りにももったいない、と考えてしまいます。
Aについては、ところがネットの普及で、クチコミが豊富に溢れ、オンライン上で相談できる場所も多数存在します。
こうなると代理店のメリットであった情報の一元的収集やプロとの相談というものが一気に薄れてしまいます。
私自身、旅行代理店にわざわざ行って相談しようとは思いません。
クチコミサイトなどでたいていは欲しい情報に行きつけるので…
Bについては、そもそも旅行は自己責任であり、何かあってもそれが楽しいのだと考えています。
そのため、そこまで安心や保障を重視していないことが挙げられるかと。
Cについては、ケースbyケースだと思います。
行き先ややりたいことなどケース毎に変わってくると思いますので、ここでは割愛します。
上記は私個人の場合です。
が、まずAについては特にネットを使いこなす層にとっては当たり前になりつつある話だと思います。
そしてAが崩れることによって、どうしても全てをカバーできない旅行代理店としては@の部分のメリットも薄くなってしまう、という流れになってきているのではないでしょうか。
逆に、自分であればどんな旅行代理店であれば使ってみたいと思うか…
・旅行代理店の力が無ければ行けない場所、ツアーに行きたい場合
とかは使ってみたい!と思う気が。
(使わざるを得ない、ともいいますが…)
さらに妄想を進めて、自分が旅行代理店をやるとすると…
・テーマ特化型(雑貨買い付け、カフェ巡り、スーパー巡り、著名人ガイドなど)
・完全オーダーメイド型(旅のしおり作りなども一からお手伝い)
・外国人専用の旅行代理店
…小学生レベルの発想ですね(涙)
ただ、考えているといろいろ面白いので今後も考えていきたいかも。
旅とはその土地の空気に触れ、人の心に触れるもの。
個人的には、本書内のこの言葉が旅だと思っているので、それを伝えられるような旅行代理店が望まれているのではないかと思います。
そして「ブランディング22の法則」にあるとおり、もっととんがった旅行代理店が出てくるといいなぁと思うのは事実。
ブランディングってホント大事だと思います。
完全に変遷の時期に来ている旅行代理店。
大手も中小も含めて今後の展開が楽しみになった特集でした。
個人的にこのテーマ非常に興味があるので、また考えていつか似たような内容で続ける…かも?です。
◆気になったポイント◆
今の若者にとって旅行とは、身の回りにあふれる数々の娯楽のうちの一つにすぎない。
旅行にも「ハレ」の旅行と「ケ」の旅行があると思いますが、「ケ」の旅行は明らかにそのとおりですね。
新婚旅行や卒業旅行の需要が衰えないのはそれが「ハレ」の旅行だからなのだと思います。
旅行には、友達に誘われれば行くけど、自分からは行かない
行こうと思えばいつでも行ける環境のせいで、きっかけを見つけにくいのは確かだ
一人旅とかは、本当に好きな人しかやらないんでしょうかね…
このあたりからも「旅行」自体が目的にはなっていないことを感じます。
評価点が高い施設のほうが顕著にリピート率が高い。とりわけ若い人は広告を信用せず、クチコミや評価点を重視する傾向が強い
これはもう避けられない流れだと思います。
TripAdvisor(トリップアドバイザー)
http://www.tripadvisor.com/などの質の高いクチコミを見ているとなおさらそう思います。
◆オススメしたい方◆
・「旅」に興味がある方
・旅行関連業界にお勤めの方
■関連リンク■
・本書紹介ページ(東洋経済新報社HP内)
・TripAdvisor(トリップアドバイザー)
・若者は旅行の何から離れているのか?(シロクマ日報)
■関連過去エントリ■
・[Travel]Tripadvisor!!
・[TRAVEL]エクスペディア・ベストツーリスト2008
・[Travel][Book]Travel Community Magazine 4travelを読んでみた
・[Travel]2009年版地球の歩き方エアラインランキング発表!
・[Book][デザイン]ブランディング22の法則