2009年04月18日

[Book]葡萄酒か、さもなくば銃弾を

葡萄酒か、さもなくば銃弾を(講談社、著者:手嶋 龍一)
葡萄酒か、さもなくば銃弾を
手嶋 龍一
講談社
売り上げランキング: 95648
おすすめ度の平均: 3.0
3 鋭さにかける
4 孤影に対しても時に矢を放つ必要があるということ
4 政治の世界での隠された側面を絡めた人物評として印象的
3 大げさなタイトル
2 拍子抜け

目次
プロローグ 二人の晩餐
1 遥かなりホワイトハウス
2 政治のなかの生と死
3 姿なき交渉者たち
4 外交という戦場
5 日米同盟の光と影
6 超大国に抗いし者
エピローグ 月下美人―若泉敬

◆この本に登場する主な人物
大統領への永い道……バラク・フセイン・オバマ
二人のファーストレディ……ヒラリー・ローダム・クリントン
ベトナムから還ってきた男……ジョン・マケイン
敗れざる者……ビル・ブラッドレー
赤い曳光弾……ヘルムート・コール
手術室のジョーク……ロナルド・レーガン
ハイアニス・ポートの孤高……ジョン・F・ケネディ
三十年の平和……ヘンリー・キッシンジャー
帰りなんいざ……戴秉国
昼行灯のひと……谷内正太郎
冷たい戦争の意志……ジョン・フォスター・ダレス
冷や飯のひと……麻生太郎
裏切りの季節……コンドリーザ・ライス
プレスリー同盟……小泉純一郎
矜持なき者の挫折……クリストファー・ヒル
イラクへの道……ドナルド・ラムズフェルド
隠れゴーリスト……小沢一郎
昨日の理念……安倍晋三
日米同盟の遠心力……福田康夫
月下美人……若泉敬 ほか
amazonから引用させていただきました)

◆本書を読む視点◆
・政治に関わる人々についての見立てが一般とどのように違うのか?

◆本書を一言で表すと◆
・インテリジェンスの専門家が描く政治の世界に生きる(た)29人

◆概要&感想◆
本書は、「ウルトラ・ダラー」の筆者である手嶋氏が、政(まつりごと)の世界に生きている(た)29人について、自身の見立てや、これまでに得た情報を元に綴った一冊。

率直に言って知らないことだらけでした。
同時に自分が知っていると思ったことは本当に物事の一面でしかなく、見えている場面が全てではないことを改めて感じました。

同時に、伝達のされ方やイメージによってものの見方は制限されること、見る人によって同じものを見てもまるで解釈は変わることもわかりました。

その最たる例が、麻生首相(2009年4月時点)の例でしょうか。
正直、本書にあるような麻生首相の外相時代の動きは全く知りませんでした。
知っていたとしてもその動きの持つ意味を分かっていたかは別ですが。。

自分は見ているようで、それは特定のマスコミというフィルターを通していたこと、そしてそれが全てではないことがよくわかりました。

もう1点読んでいて興味深かったのは、本書内での日ロ関係に関わる点。
領土問題は、光に満ちているべき日ロの将来に暗い影を落とし、日ロ関係を隘路に追い込んでいる。両国はこうした現状に甘んじるのか、それとも互譲の精神で日ロの喉元に刺さった棘を抜く勇気を持つのか。それがいまこそ問われている。

上記主張ですが、以前エントリした「ロシア・ショック」内の主張と非常に似通っています。
少なくとも大前氏と手嶋氏のお二人が今日本が外交の世界でやるべきこととして考えていることは似通っているのだな、ということがわかります。

とかく日本国内での話題に目を奪われがちではありますが、同時に世界のレベルで考えてみると、U本をとりまく現在の情勢は非常に際どいところにあり、大きな岐路に立っていることがわかります。

そういう意味でも本書にあるような「政」や「外交」といった視点を持つことも大切ですね…

もっともそれとは別に本書に出てくる29人についての描写は非常にそそられます。
いずれも自分の立場だけでなく、国というものを背負った人物であり、それぞれの理を持っていることが伝わってきます。

インテリジェンスに絡む記載が多いあたりはさすがですが、話が話だけにやはり冷戦時代や90年代が多い印象。
私の勉強不足もあって、正直知らない方もいますが、それでもワクワクしながら読んでしまいました。

惜しむらくは、一編あたりが短めなこと。
個人的には、ヘルムート・コールやロナルド・レーガン、ジョン・F・ケネディらの話はもっと読みたいと感じました。

同時に、どの話も複眼的に書かれていますが、手嶋氏の見立てのようなものがもっとみられるとなお良かったかもしれません。

ただ、なかなか自分では持てない視点であることは間違いのない話ばかり。
歴史や外交についてもっと勉強しなければ、と思わせられた一冊でもありました。

◆気になったポイント◆
政治の世界は結果責任なのである。
どれほど純粋な動機で取り組んでも、結果として国益を損なってしまえば、一国の指導者はその責めを負わなければならない。

…そのとおりだと思います。
歴史に立派に刻まれたいと願う戦略家たちの野心を軽く見てはならない

政治家の統治のスタイルを知りたければ、彼が尊敬する歴史上の人物を尋ねればいい、といわれる。

選挙で有権者から政治権力を委ねられた者は、ひとたびは選挙民の意向を離れても、自らの良心と信条に従って政治決断を敢然と行わなければならない。
その結果は次の選挙で有権者の審判を仰ぐ。

「政」に関わる話として、いずれも非常に興味深い指摘だと思います。

◆オススメしたい方◆
・インテリジェンス、外交、安全保障に興味がある方
・第二次世界大戦後の近代史に興味がある方
・「政治」の世界に興味がある方
・政治家や外交官に興味がある方

■関連リンク■
・本書紹介ページ(講談社HP内)
・『葡萄酒か、さもなくば銃弾を』(手嶋龍一オフィシャルサイト)
・手嶋龍一オフィシャルサイト(著者公式HP)

■関連過去エントリ■
・[Book]ウルトラ・ダラー
・[Book]インテリジェンス 武器なき戦争
・[Book]ロシア・ショック



posted by Guinness好き at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Book | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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