「R25」のつくりかた (日経プレミアシリーズ)
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藤井 大輔
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 1023
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おすすめ度の平均:
リアルタイムで進行するプロジェクト成功教本作者が未熟すぎて、参考にならない
イタコ化
ユーザー視点に立つとはこういうこと
街に溢れる多くのフリーペーパーの中で「R25」が成功した秘密がわか
まえがき
第1章 少人数の組織で「業界常識」に立ち向かう
第2章 M1層はホンネを語ってくれない
第3章 M1層に合わせた記事づくり&配布作戦
第4章 世の中のちょっとだけ先を行く発想術
第5章 M1世代とM1商材を結びつける
第6章 さらにビジネスを広げるために
あとがき
(日本経済新聞出版社から引用させていただきました)
◆本書を読む視点◆
・R25プロジェクト成功の秘訣は?
◆本書を一言で表すと◆
・R25の編集者でかつ産みの親による立ち上げの記録
◆概要&感想◆
首都圏で配布されているリクルートのフリーペーパー「R25」。
本書はそのプロジェクトの立ち上げから発刊とその後までを主に編集面から見た一冊。
なぜ「R25」が成功したのか、それはひとえに「ブランディングの勝利」だったことがよくわかります。
著者の藤井さんはターゲットであるM1層(20歳〜34歳の男性)がどのような考えを持っているのか、調べに調べ、200人以上に直に会って肌で感じます。
そうしてM1層はどのようなものを求めているのか、そもそも求めているのか、というところから考えています。
その結果出た、M1層の見立てはお見事の一言。
私自身、M1層にひっかかっていますが、個人的には大部分が当てはまっていると思います。
そのM1層への理解という面で突出し、読まれる環境まで想定して絞った結果、
プロジェクトが立ち上がってから、R25としてGO!が出るまで、猛烈な忙しさと大変さだったと思いますが、文体からはそれを感じません。
淡々と書いている印象。
実際は嵐だったとしても、文体がそのような感じのため読む側としては冷静に、静かに読むことができました。
この文体がなぜか非常に印象に残りました。
編集者さんなので言葉に対して敏感なのでしょうか…
このあたりは、同じ編集を経験されている方同士のせいか「クラウドコンピューティング入門」を書かれたHeartLogicの小林さんに近いものを感じます。
あと気になったのは、どのようにしてM1層に対して「イタコ化」までできるほど理解できたのか。
本書の内容とは離れるのでそれほど詳しくは書かれていませんが、本書内で書かれている「インサイトを理解」がなぜ成功したのかについてもっと知りたいところです。
本書内で著者が書いているとおり、プロジェクト自体というよりは、R25というメディアを編集の観点でどのように立ち上げ、形にしていったのかが本書のテーマです。
そのような構成にしたところに編集者としての著者のスタイルや考え方が伺えます。
その一方で、R25を新規事業として立ち上げた2人(現ライブドアの田端信太郎氏と小林大輔氏とどのように役割分担をし、協働していったのかにも非常に興味があります。
そのあたりもいつか伺えれば、と。
とはいえ、荒野のように何もなかった場所を開拓するヒントが多数盛り込まれており、面白い一冊でした。
◆気になったポイント◆
新聞より親近感があって、インターネットよりも信頼感がある。そんな独特のボジションを、R25は獲得することができたのかもしれません
つまり、そういうブランディングに成功したのであり、フリーだから、という理由だけではないということですね。
同時にそのポジションのメディアが求められていた、ということでもあると思います。
クロスメディアプロモーション
R25というブランドを使い、まだまだこれから様々な形でこのクロスメディアプロモーションを仕掛けてくるのだと思います。
今後の展開が楽しみです。
コンテンツを軸とした成功モデルはあるはずです。
おそらく答えはWebやモバイルの世界にあるのではなく、リアルとの接続にあるのではないかと思っています。
今後のR25の方向性を示唆しているかと。
「合気道っぽい」スタイル、感覚
「制約を逆手にとって面白いことをしていたりする」ということの例えとして使われていました。
著者はこの例えが上手な方だな、という印象がありました。
◆オススメしたい方◆
・R25のファンの方
・R25に興味がある方
・新しいものを作り出すことに興味がある方
・編集の仕事に興味がある方
・メディアに興味がある方
・プロジェクトの立ち上げに興味がある方
■関連リンク■
・本書紹介ページ(日本経済新聞出版社HP内)
・R25.jp
・TABLOG(田端信太郎氏ブログ)
■関連過去エントリ■
・[Book]タクシー王子、東京を往く。―日本交通・三代目若社長「新人ドライバー日誌」
・[Book]P&G式 世界が欲しがる人材の育て方
・[Book]祖母力 うばぢから オシムが心酔した男の行動哲学