大前 研一
小学館
売り上げランキング: 5738
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おすすめ度の平均:
日本にいてはわからない国際情勢が学べる本誰が大統領になっても出版できるように作られた本
変わってしまったのは大前さん自身では?
アメリカべったりの大前氏が・・・
知識の整理に最適!!
目次
プロローグ オバマ政権誕生―それでも私が悲観的にならざるをえない理由
第1章 「無責任の連鎖」が止まらない
第2章 不寛容なアメリカ「終わりの始まり」
第3章 拡大する“反米・嫌米”包囲網
第4章 アメリカン・ジャーナリズムの落日
第5章 敵国なき時代―オバマ外交の連立方程式
第6章 「恐慌回避」のための処方箋
第7章 属国か独立か―日本の選択
エピローグ さらばアメリカ―この国を蘇生させる三つの条件
(amazonHPから引用させていただきました)
◆本書を読む視点◆
・大前さんは現在のアメリカをどのように見ているのかを知る
◆本書を一言で表すと◆
・大前さんによる国際関係を中心としたアメリカの現状分析結果
◆概要&感想◆
大前さんの国際感覚というのは、日本人離れしているというか、一般的な日本の人とは違うレベルで見ていると個人的に思っています。
そんな大前さんによる、現在のアメリカを論じたのが本書。
内容が非常に整理されており、特にアメリカを巡る国際関係について大変わかりやすかったです。
アメリカと近隣諸国、アジア、中東、EUやロシアとの関係がよくわかります。
アメリカの今後の外交を考える上で、まず現状を押さえるのに最適な一冊ではないでしょうか。
本書を読むとアメリカがどれだけ変わってしまったのか、今後アメリカ自身が変わらない限りアメリカだけでなく、世界全体が大きく変容してしまうことがよくわかります。
一方で、表紙を見て、「...until you come back to yourself」とあるので、アメリカが復活することを願う気持ちが大前さんにあるんだろうなぁ、と思って読んでみると、本文内にも同様の記載が。
アメリカに希望を見い出すことで、世界にも希望を見い出したいという考えがあるのかな、などと考えています。
少し残念だったのは、政治面や経済面、外交面についてはかなり詳しいのですが、一方で文化面であったり、キリスト教との関連などについてはほとんど言及されていませんでした。
文化面についても大前さんなりの考えや分析を読んでみたいなぁ、と思って次第です。
そのあたりは以前エントリした「アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない」などで補完すると良いかもしれません。
ともあれ、現在のアメリカを分析している本としてわかりやすく、示唆に富んでいると思います。
大前さんの提言と今後のオバマ大統領を中心とするアメリカの動きがどれくらい重なるのか、など興味深く考えるモトをたくさん得られる一冊だと思います。
◆気になったポイント◆
許容度と包容力のないたびたび「不寛容」というキーワードで表されていますが…
これってアメリカに限らず世界全体がその方向に向かってしまっている気もします、残念ながら…
日本の新聞記者は自分が所属している新聞としての意見を書くが、アメリカの新聞記者は個人としての意見を書くのである。このあたりは、以前エントリした「ジャーナリズム崩壊」でも同じ論調ですね。
現場の上杉氏も、取材される側の大前さんでも同じご意見というのは興味深いです。
アメリカの場合、教育課程そのものに、世界の一員というコンセプトがない。こちらは、「アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない」に詳しいです。
ものすごく以外な印象を受けます。
日本の教育システムも必ずしも良いとは思いませんが、こうした事実を聞くと、今後も大切にすべし点もあることがよくわかります。
"世界に嫌われるアメリカ"から"世界と共存できるアメリカ"へオバマ体制でどこまで変えられるのか、注目したいと思います。
◆これからやること◆
・アメリカのこれからの外交戦略に注目、特に中東
◆オススメしたい方◆
・現在のアメリカの姿を知りたい方
・アメリカを中心とした国際情勢を勉強したい方
・大前さんが考える今後の世界の流れに興味がある方
■関連リンク■
・本書紹介ページ(小学館HP内)
・大前研一「ニュースの視点」Blog
・大前・アンド・アソシエーツ グループ
■関連過去エントリ■
・[Book]キャプテン・アメリカはなぜ死んだか 超大国の悪夢と夢
・[Book]アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない
・[Book]ルポ 貧困大国アメリカ
・[Book]ロシア・ショック
・[Book]ジャーナリズム崩壊
・[Book]サラリーマン「再起動」マニュアル