15歳からのファイナンス理論入門―桃太郎はなぜ、犬、猿、キジを仲間にしたのか?
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慎 泰俊
ダイヤモンド社
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目次
はじめに
PROFILE(主な登場人物)
朝 礼
なぜ、この授業をするのか?
ファイナンス理論についての誤解
リスクとリターンについて
今日の授業の内容
1時間目 [ リスクとリターン ]
カズミチ君の3ポイントシュート
人間は不確実なことが嫌い
高リスク・高リターンとは
リスクを嫌うことと“何かに慣れてしまうこと”は表裏一体
うまい話はすぐになくなる
知ってもらいたい2つのこと
2時間目 [ リスク分散 ]
ヒノコさんの試験勉強
試験内容とヒノコさんの得意科目
勉強の計画
ヤマ張りが効果的になるための条件
リスク分散のルール
リスク分散の限界と高リスク・高リターンの関係
ヒノコさんのテスト結果
3時間目 [ 現在価値と将来価値 ]
アリスと不思議な種
現在価値=値段になる
この時間があれば、こんなことができたのに……(機会費用)
過ぎ去ったことは忘れよう!(埋没費用)
夏休みに宿題を先送りしてしまうのはなぜ?
セントぺテルスブルグのくじ
4時間目 [ 国語 ]
ファイナンス理論の考え方は世の中に深くしみ込んでいる
習ったことを故事成語から探してみよう
習ったことを文学作品から探してみよう
5時間目 [ 社会 ]
経済の仕組み
政治の仕組み
欧米が“世界の中心”になれた理由?
ホームルーム
ファイナンス理論は皆が使える原理原則
今日の授業の感想文
放課後
ファイナンス理論のキーワード
練習問題を解いてみましょう
おわりに
(ダイヤモンド社HPから引用させていただきました)
◆本書を読む視点◆
・難しいことをわかりやすく説明するを学ぶ
◆本書を一言で表すと◆
・「ファイナンス理論 = 不確かなこと」を考えること
◆概要&感想◆
書名に偽り無しです。
15歳からの、とあるとおり中高生でもわかるようにファイナンス理論について丁寧に書かれています。
ファイナンス理論という表題でしたので、読む前は金融面でのファイナンスについての本かと思っていましたが、もっと本質的なファイナンスの理論である「リスク」「リターン」「リスク分散」などが本題。
金融面での入門書を期待される場合には注意が必要だと思います。
ただ、内容は非常にわかりやすく秀逸でした。
特に、「不確かなこと」として「リスク」を捉えること、リスク分散の考え方は非常にわかりやすかったです。
本書の何よりの特徴は、
・「ファイナンス理論」のポイントを絞ったこと
・その説明としての例えの素晴らしさ
の2点だと思います。
1点目のポイントについては、「リスクとリターン」「リスク分散」「現在価値と将来価値」という3つに絞ってじっくり説明されています。
そのためファイナンス理論の入門としてはとっつきやすくなっているのだと思います。
やはりあれもこれも、となるとファイナンス理論って大変そう…という先入観がどうしても入ってしまうと思いますので。
4時間目、5時間目は応用編ですが、あくまで3つに絞った話の応用なので無理も無いように思います。
2点目のポイントについては、リスク分散をテスト勉強であったり、表題にもある桃太郎で例え、現在価値と将来価値を夏休みの宿題で例えて説明されていますが、これがまた非常にわかりやすく、納得感があります。
何よりメインターゲットを中高生としているため、学生生活に馴染みのある例えを使っているあたり読み手の視点に立った一冊だと思います。
また、その中高生に向けて著者である慎さんが読んで欲しい本の紹介がそこかしこに挟まれていたり、カッコ書きが真理をついていたり、と読み手にためになる、優しい仕掛けがふんだんに盛り込まれている構成も素晴らしいかと。
著者の慎さんは、LIVING IN PEACEといった活動をされているようですが、本書を見るとさらに若い人への教育であったり、若い人への可能性を信じている方なのかなぁ、などと感じました。
メインターゲットは中高生ですが、年齢に関わらず15歳以上でファイナンス理論って何?という方全てにオススメの一冊だと思います。
◆これからやること◆
・物事を見る時に「リスク分散」されているのか否か、と考えてみる
◆オススメしたい方◆
・ファイナンス理論って何?という方
・リスク、リターン、リスク分散、現在価値、将来価値について勉強したいという方
・ファイナンスの入門本を探している方
・「桃太郎はなぜ、犬、猿、キジを仲間にしたのか?」に興味を持たれた方
・中高生向けの秀逸な一冊を探している方
■関連リンク■
・本書紹介ページ(ダイヤモンド社HP内)
・Taejunomics(著者 慎 泰俊氏ブログ)
・LIVING IN PEACE(著者 慎 泰俊氏代表)
・LIVING IN PEACEブログ
■関連過去エントリ■
・[Book]世界一受けたいお金の授業
・[Book]チーズの値段から未来が見える
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