600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス (角川SSC新書)
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上阪 徹
角川SSコミュニケーションズ
売り上げランキング: 219
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目次
序章 女性なら知っている。料理サイト「クックパッド」
第1章 就職を選ばなかった男が、辿りついた目標
第2章 クックパッドは、なぜ「女心」をつかんだのか
第3章 細やかなサービスを実現するのは、テクノロジー
第4章 広告を見た人から「ありがとう」といわれるサイト
第5章 六〇〇万人を呼び込む「経営」と「マネジメント」
(amazonHPから引用させていただきました)
◆本書を読む視点◆
・普通に使っているだけではわからないクックパッドの秘密を知る
◆本書を一言で表すと◆
・理念に裏打ちされた「クックパッド」の凄さを披露した一冊
◆概要&感想◆
「クックパッド」については知っていました。
妻が利用しており、決してネットが得意とは言えないにも関わらず嬉々と「つくれぽ」を投稿しています。
「クックパッドが無ければ日々の料理が嫌になっていたかもしれない」とまで言っています。
スゴイ魅力溢れるサービスなんだなぁ、とは思っていました。
本書はそんなクックパッドの魅力に隠された見えないビジネスの部分を披露した一冊。
実際、読めば読むほどクックパッドの凄さがわかります。
全てが
「毎日の料理を楽しみにすることで、心からの笑顔を増やす」を前提にしている点。
そしてその軸から全くブレない点。
機能だけでなく、デザインも広告も全てが料理を楽しんでもらうため、という徹底ぶり。
思う信念岩をも通す、とは言いますがこれだけこだわり、かつ常に言い続けることでサービスとしても会社としてもそこで働く人としても理念を体現している点が素晴らしい。
そしてサイトの見た目に騙されていましたが、非常に高度な技術を駆使している、というのも驚きでした。
しかもその技術もまた「料理を楽しくする」ため。
決して技術自慢ではなく、料理を楽しくするのに必要だったのでその技術を採用というスタンス、理想的であり、またそうあるべきなのですが、ついつい忘れがちな視点です。
非常に得るものの多い一冊でした。
ITサービスやクックパッドに興味がある無しに関わらず、ビジネスをする全ての方にオススメの一冊です。
◆気になったポイント◆
例えば「白菜」と検索窓に入れたとき、白菜を使った料理がただズラリと出てくるのではない。白菜を検索窓に入れるときは、どんなケースが最も多いか。それを想定するのがクックパッドなのだ。ユーザーの行動履歴を徹底分析したが故の結論だそうですが、そこまで配慮しているとは思いませんでした。
クックパッドに情報として掲載される以上、「料理が楽しくなる」ものでなければいけない、という発想である。とにかく徹底されています。
大事なことは、多様な価値観がちゃんと共存できること。多様性の尊重。
それぞれの人が、それぞれおいしい、と思えることです。
懐の広さと訪れるユーザー皆が幸せになってほしい、という徹底したユーザー視点であることが伺えます。
調理器具や家電製品と同じように、"キッチン用品"として何の違和感もなくクックパッドというWebサイトも使えなければいけない。
これがクックパッドの前提だ。
テクノロジーを用いた徹底的な分析から出された仮説をもとに、「ユーザーの欲求レベルはどの位置にあるのか」を弾き出し、クックパッドはそれをゴールとして設定した。
そしてそれを徹底してサービスに落とし込んできたのだ。
クックパッドに学べるのは、ゴールのイメージの重要性である。サービスを提供するだけでなく、ビジネスでも何でもゴールを設定する上で見習いたいポイントです。
何がゴールかがわからずに、ゴールには到達できない。
また、ゴールのレベルが低ければ、結果のレベルも低いままにならざるを得ない、ということである。
とにかく一発当てるのではなく、たくさん試す。まず、たくさん試す中で、真の解を見つける、という点も見習いたいポイントです。
それが、ゴールに行き着くための最短の方法だと僕は思っています。
説明の必要なサービスというものは評価できないということ。
例えば、多民族国家のアメリカでは言葉も生活習慣もバラバラ。iPod touchやiPhoneを思い出しました。
だから、直感的にわかるようなモノを作ろうとする。
グローバルで戦おうとするなら、この視点はとても大事になると思います
Appleも含めて多民族国家だったからこそ生まれた、という意味では必然だったのかもしれません。
◆これからやること◆
・まず、たくさん試す
・まず、ゴールをイメージする
◆オススメしたい方◆
・クックパッドって何?という方
・クックパッドを活用している方
・Webサービスに携わっている方
・ユーザ志向に興味がある方
・ユーザの立場に立った仕事に関連する方
・成功したビジネスモデルに興味がある方
■関連リンク■
・本書紹介ページ(角川SSコミュニケーションズHP内)
・クックパッド
■関連過去エントリ■
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・[Book]タクシー王子、東京を往く。―日本交通・三代目若社長「新人ドライバー日誌」
・[Book]プラネット・グーグル
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